スポンサーサイト

上記の広告は90日以上記事の更新がないブログに表示されます。新しい記事を書くことで、こちらの広告が消せます。

  
Posted by おてもやん at

ほのあたたかい明るさ

2011年10月15日

土曜日、日曜日が休日の方には朝からこのディスクはいかがでしょう。モーツァルト時代の音楽は何においても鍵盤楽器が主流で、交響曲でもチェンバロが加わっていたりします。いわば指揮者をかねていました。現代のように棒を振るだけの職業は無かったのです。
現代ではヴァイオリン・ソナタと一括りにされていますけれども、モーツァルトのデュオ作品で、ヴァイオリンとピアノの為のソナタと言えるのは第37番以降の7曲のみという事になります。

Wolfgang Amadeus Mozart – Violin Sonatas KV 378 and KV 379 (Richter(pf), Kagan(Vn) Melodiya) 評価:★★★★☆

今朝のCDはさて、それ以前の「ヴァイオリン伴奏付きのクラヴィーア・ソナタ」ということになります。ともかく、このK.378は魅力作です。出来として優れているかはまた別の問題ですが、このソナタには「モーツァルトの変ロ長調」特有のほのあたたかい明るさ(この「ほのあたたかい」というのがミソです)が随所に感じられてなかなか良いのです。主題がピアノで奏でられることからもおわかりのように、決してヴァイオリン主導の音楽ではありませんが、ヴァイオリン・パートも捨てがたい魅力を放っており、親しみやすいメロディも多いことから、嫌おうにもなかなか嫌えない愛嬌があります。底抜けに明るいわけでもない、あくまで「暖色寄りの中間色」の雰囲気がたまりません。
このヴァイオリン・ソナタとしてのスタイルがまだベートーヴェンのようにかっちりと定まっていないだけに、印象派の絵画をイメージさせて古典派を飛躍してロマン派の息吹さえ感じます。モーツァルトに誰もが心安らぐ自由なイメージを1番享受できるディスクです。
録音は1982年。ロシア・メロディア録音でミュージアムでのライヴなので、リヒテルの軽いタッチのピアノはいつもの日本製メーカーではないピアノかもしれません。初期デジタル録音となるわけですが、CD特有の癖・・・はっきり言えば、アナログLPレコードで聞くことの出来る音の隙間が詰まった音ではないのですが、全体的にソフトでぎすぎすしたところの少ない心地良い音色です。マイクのセッティングにアナログ時代の流儀が残っていたのでしょう。低域から高域まで、バランス良く聞いていて退屈させるような感じではありません。
フォルテの部分で音の密度が大味になるデジタル感が少し漂うところもあるので評価は、そこをマイナス。演奏はKV379で、ピアノ、ヴァイオリン共に音がずり下がるところがあります。時間が経てば調律は徐々に狂うものですから、演奏会の後半で演奏されたのでしょう。グリュミオーとハスキルの名盤を基準点に判定すれば、評価は★★★★☆ http://amzn.to/paljSv





  
Posted by 武者がえし at 10:23Comments(0)今日のモーツァルト